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刺し子糸

刺し子糸

 糸の太さを比べるため、手持ちの木綿糸を2枚重ねにしたさらしに並縫いで刺してみました。ヘラで線を引き、その上をなぞるように3~4mmの針目でぐし縫いしています。
 それでは、上の写真で使用している糸を上から順番にご紹介します。

  1. 小鳥屋 染分糸 赤系のぼかし 太糸
  2. 小鳥屋 染分糸 青系のぼかし 太糸
  3. オリムパス 刺し子糸 紫とピンクのミックス(73) 旧商品40mかせ
  4. オリムパス 刺し子糸 青濃淡のボカシ(52) 旧商品40mかせ
  5. オリムパス 刺し子糸 赤(15) 旧商品40mかせ
  6. 藤久 刺し子糸 太 緑
  7. 飛騨さしこ本舗 段染め刺し子糸 No.202
  8. Herbal 合細 草木染め
  9. アースベル 細口 30番 木綿手縫い糸 緑
  10. ルシアン コスモ25番刺繍糸(色番:354) 6本取り
  11. ダルマ 刺し子糸合太 レインボー(101)
  12. 藤久 刺し子糸 細 赤
  13. 藤久 刺し子糸 太 ミックスピンク系

 刺し子糸は一般的に3~8本の細い糸を甘縒りにしたものです。刺繍糸よりも縒りは強いものが多いため、縒りをほぐして使うということはあまりしません。
 刺繍糸で2本取りというと、縒りをほぐして細い糸を1本ずつ引き抜き、2本束ねて使うという意味の場合が多いと思いますが、刺し子で2本取りと書かれている場合は、糸をほぐさずそのまま2本重ねて使うという意味であることが多いです。
 ふきんのように薄い布には1本取りで十分ですが、広い範囲に刺す場合や分厚い布の場合は2本取りで作ったりすることもあります。また、ひとえに刺し子糸といっても各社、糸の太さが異なりますので、好みや布の厚みによって1本取り、2本取りと変えていただけると良いと思います。
 「長糸の短気」という言葉や「下手の長糸、上手の小糸」ということわざが昔からあるように、長い糸だと縫っているうちに途中で糸がもつれたり、毛羽立ったり、縒りがほぐれたりしますので、布幅や縫うペースに合わせてちょうど良い長さに切って使うと良いようです。
 私はこれまで刺し子糸のかせを切らずに使っていたので、ふきんを作る際はふきんを端から端まで刺せるくらいの長さ(模様にもよりますが大体50~60cmくらい)や、その日に刺す量に合わせて糸を切り使っていました。
 ですが、使っていくうちに糸が絡まるのが気になり、最近は糸のかせを一箇所切って使うようになりました。メーカーにもよると思いますが、オリムパスの刺し子糸の小かせの一箇所を切ると、1本が約1mになります。その点、最初からカードに巻いてあるカード巻きの糸は自分の使いたい長さで糸を切れるので便利です。
 一目刺し(地刺し)をする際、太めの糸を使うと、刺し子をした作品はかなりの重さと厚さになってしまいますので、さらしのような薄いものに刺すのでしたら、なるべく細めの糸を選ばれたほうが良いと思います。
 それぞれの糸に特徴があるように、針目にもまた十人十色の味わいがあり、出来上がった刺し子には刺し手の個性が表れるようです。
 こちらのホームページでご紹介した花ふきんや小物には主に小鳥屋、オリムパス、ダルマ、Herbal、飛騨さしこ本舗、藤久の刺し子糸を使わせていただいてます。

 小鳥屋は、色糸(全23色)は細糸のみ、未晒糸、白糸、染分糸(全6色)には細糸と太糸があり、飛騨高山の本店もしくはオンラインショップで購入できます。
 細糸は20番手4本縒り、太糸は20番手8本縒りです。我が家にある刺し子糸の中では、こちらの太糸が一番太いです。お値段がリーズナブルでしたので、いろんな花ふきんを刺す際に手軽に使えました。
 糸の「番手」は、「一定の重さに対して、長さがいくらあるか(恒重式番手)」を測定して数値を求められています。数字が大きくなるほど細い糸であることを示します。
細番手<40番<30番<20番<太番手

 オリムパスの刺し子糸(6本縒り)には、小かせ(20m)と大かせ(100m)があり、色の種類が大変豊富です。  
小かせは単色29色、ボカシ3色、ミックス7色、カラフル8色。  
大かせは単色14色、ボカシ3色、ミックス4色。小かせと大かせの糸の色合いが異なるようで、色番も異なります。
 オリムパスの刺し子糸は藤久の太糸、ダルマの合太糸、飛騨さしこの刺し子糸とほぼ同等の太さだと思います。
 また、最近、一目刺し向けに開発された刺し子糸<細>という商品が発売されました。10mのかせ糸20色が入った刺し子糸<細>ミニコレクションというセットと80m玉巻きのタイプがあり、はじめは少量で試して、慣れたら玉巻きタイプを購入すると良いかもしれません。

 オリムパスには、他に太糸の刺し子糸(白のみ 13m)やこぎん糸(全34色)があります。
 私は主に小かせ(旧商品の40mかせ)の刺し子糸を使用していたのですが、他メーカーの糸に比べかなり太めでした。糸質はやわらかく、刺しているうちに毛羽立ちがやや気になる時があります。ここ数年、商品規格が変更され、以前、販売されていた40mかせが20mかせに変更になり、糸の太さも40mかせの旧商品より、20mかせの新商品のほうが若干細くなりました。

  ダルマの刺し子糸は、細糸と合太糸があります。細糸は大かせ(170m)と小かせ(40m)があり、それぞれ単色20色が販売されています。また、合太糸は大かせ(100m)が単色9色、小かせ(40m)が単色20色のほか、それぞれ段染3色とレインボーがあります。ラインナップが大変豊富ですので、よく使う原色から、やさしい色合いのパステルカラーまでお好みの色がきっとみつかると思います。細糸の小かせ1本で同社の「夢ふきん」がちょうど1枚作れるような長さになっているようです。細糸、合太糸の太さは藤久の細糸、太糸とほぼ同じ太さです。また、合太糸は、飛騨さしこ本舗の刺し子糸とほぼ同じくらいです。
 合太糸のレインボーと細糸の紅色(7)とすみれ色(8)を購入してみました。袋を開けてすぐは糊が強く糸も硬く感じましたが、糸をほぐしてから少し経つと柔らかくなり、問題なく使用できるようになりました。縒りは割りと強めのため毛羽立ちも少ないと思います。レインボーは、濃い色合いのカラフルな糸ですが、実際、刺してみると派手過ぎず、かわいらしい仕上がりになりました。また、すみれ色はきれいなつやのある色で一目ぼれして購入したのですが、サイトで確認したところ、掲載されてなかったので、もしかしたら廃盤になってしまったのかもしれません。他にも単色糸にきれいな色が多いので、おすすめです。

 アトリエ はーばるの綿糸は合細(20番手4本縒り)で、毛羽の少ないやわらかな糸です。糸の細さは、ダルマ(合太)や飛騨さしこの刺し子糸よりも細め、ダルマ(細糸)や藤久(細糸)よりも若干太めという感じでしょうか。
 ザクロ、ティンギ、ローズ、ログウッド、スオウ、カモミール、茜、柿渋、藍などの染料を使った草木染めの自然な色合いがすてきです。
 ただ、自然染料のためか、洗濯時に中性洗剤以外を使用すると色移りしたり、色落ちしやすかったりします。また、同じ染料でも、かせによって色の濃淡、色合いが微妙に違ったりすることがあります。広い範囲に刺す場合は大かせで購入したほうが良いと思います。

 飛騨さしこ本舗の刺し子糸(6本縒り)は色も美しく、大変質の良い糸です。単色、染分、草木染めと種類も豊富です。糸の細さはダルマの合太糸、藤久の太糸と同等です。

 藤久(株)の刺し子糸の太糸(6本縒り)、細糸(4本縒り)ともにダルマの合太糸、細糸とほぼ同じくらいの太さになります。毛羽立ちの少ないやわらかな糸で、質も良いです。糸の番手は不明ですが、細糸は4本縒り、太糸は6本縒りなので、細糸と太糸の太さの差はよ~く見ないとわかりません。
 小かせ(40m)と大かせ(100m)があります。小かせは、単色が細糸、太糸各10色ずつ、段染め、ミックスが細糸、太糸、各2色ずつあります。大かせは細糸の単色各7色、段染め、ミックスが各2色ずつあります。パステルカラーの多いオリムパスに比べ色のラインナップがやや濃い目・渋めです。

 アースベル 細口 30番木綿手縫い糸は、光沢のある細口の糸です。30番手を3本縒った糸なので刺し子糸に比べかなり細めです。私が子供の頃、初めて花ふきんを刺した時に使った糸でして、緑や赤の糸でふきん一面に大きな八つ手麻の葉を刺しました。
 ご家庭で使われる手縫い糸としては、ダルマの家庭糸のほうが一般的でしょうか。 ダルマの家庭糸には細口(30番手3本縒り)は色数が56色、太口(20番手3本縒り)は9色と大変豊富で、色を選ぶ楽しみもありますね。手縫い糸でしたら、ご家庭にある手縫い針やメリケン針(洋針)で手軽に刺し子を始められると思います。
 一般的に刺し子というと太めの刺し子糸が利用されていますが、秋田の花ふきんでは、30番手の綿や絹の手縫い糸を1本取りもしくは2本取りで縫われるのが特徴で、細い糸で細かく縫うことにより、繊細な刺し子に仕上がります。また、故 吉田英子さんの著書でも、花ふきんに赤い太口の手縫い糸が使われています。

 ルシアン コスモ25番刺繍糸(8m)は、最高級エジプト綿を使用したやわらかく光沢のあるきれいな糸です。全462色販売されており、ぼかし染めも全140色と色展開が大変豊富です。色落ちの少ない日本製の糸で、国内で高いシェアを占めています。(このほか、ルシアンでは刺し子糸"hidamari"が販売されています。)
 また、刺繍糸では長繊維エジプト綿のDMC 25番糸が世界的にみると愛用者が多いようです。フランス製の糸で1カセ8.7ヤード(約8m)、単色447色、段染め18色のラインナップとなっています。また、DMC カラーバリエーションという25番の段染めの刺しゅう糸のシリーズが販売されており、全60色のバリエーションとなっています。
 刺繍糸を刺し子に使う場合は、より分けた刺繍糸を1本ずつ引き抜き、好みや布地に合った本数を重ね、甘く縒ってから使用すると、ふっくらとした針目に仕上がり、刺し子糸とはまた異なる、光沢のある上品な雰囲気になります。刺し子の本でも時々、光沢のある布に刺繍糸で刺し子をほどこした作品を見かけます。

 NASKA(なすか)は、特に段染め糸の色合いに特長があり、ポップでかわいらしい仕上がりになります。色のラインナップは小巻(25m)、大かせ(145m)ともに単色が15色、段染めが8色となっています。4本縒りの細めの糸です。糸の細さは飛騨さしこよりも細め、ダルマ、藤久の細糸と同じくらいです。小巻はカード巻きになので糸が絡まることなく使いやすいです。25mなので、一目刺しのふきんだと1つでは足りなくなるかもしれないです。
 NASKA(なすか)では他に和色の糸のシリーズ四季刺し子糸(80m)が全17色販売されています。こちらは、渋めの色合いでカタログの写真で見るよりも色が濃い印象です。好みがわかれると思いますので、実物を見て購入されることをおすすめします。

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